流水のはたらきは、私たちの生活に大きく関わりを持っています。中学入試や中央一貫校の適性試験にもよく出題されています。今回は「流水のはたらき」について勉強しましょう。
流水のはたらき
流水のはたらきで押さえるべきポイントは次の3つです。
- 流水の3つのはたらき(3作用)
- 川の流れと粒の大きさ(川底・川岸)
- 川がつくる地形
特に、すべてに共通する知識である「流水のはたらき」は重要です。
流水の3つのはたらき(3作用)
流れる水には次の3つのはたらきがあります。3作用とも呼ばれます。
- しん食…けずる
- 運ぱん…運ぶ
- たい積…積もらせる
しん食
流水が地面や土などを削るはたらきを侵食といいます。流れが速いほどこのはたらきは大きくなり、流れが遅いとこのはたらきは小さくなります。
地面に雨水などが流れると川のような溝ができるのはこのためです。実際の川もしん食によって地面が削られてできているのです。
運ぱん
流水が土砂などを運ぶはたらきを運ぱんといいます。流れが速かったり、水の量が多いほどこのはたらきは大きくなり、流れが遅かったり、水の量が少ないとこのはたらきは小さくなります。
雨が降った後、川の水が増え、水が茶色ににごっているのは、運ぱんのはたらきで、削られた土砂が大量に運ばれているからです。
たい積
流水が運んできた土砂を積もらせるはたらきをたい積といいます。流れが遅いとはたらきが大きくなり積もりやすく、流れが速いとこのはたらきは小さくなり積もりにくくなります。
速い | ←流れ→ | 遅い | |
しん食 | 大きい | ↔ | 小さい |
運ぱん | 大きい | ↔ | 小さい |
たい積 | 小さい | ↔ | 大きい |
川の流れと粒の大きさ
川の流れによって、川底などに堆積する土砂の粒の大きさが変わってきます。流れが速い場所では、粒が小さい泥や砂は流されてしまいたい積しません。
逆に流れが遅い場所では、粒が小さい泥や砂などもたい積します。ここで、粒の大きさと土砂についてまとめておきます。
- れき(小石)…粒の直径が2mm以上
- 砂…粒の直径が2mm~0.06mm
- どろ(粘土)…粒の直径が0.06mm以下
上流・中流・下流
川の流れは、山間部を流れる上流と、平野部を流れる中流、河口近くの下流の3つに分かれます。上流ほど流れが速く、しん食や運ぱんのはたらきが大きくなります。
- 上流…流れが速い
大きくて角ばった石が多い - 中流…流れは中間
丸みを帯びた上流よりも小さな石が多い - 下流…流れが遅い
丸い小さな石が多い
真っすぐとカーブ
川の流れによっても流れの速さが異なります。真っすぐ流れている川の場合、中央付近の流れが一番速く、川岸に行くにしたがって流れが遅くなります。したがって、川の中央付近の川底には、大きな粒の小石しか残っていません。
川がカーブを描いているところでは、カーブの外側が流れが速く、削るはたらきが大きくなりがけができます。逆に内側では、流れが遅く積もらせるはたらきが大きくなるので川原ができます。
川がつくる地形
流水のはたらきによって、上流・中流・下流ではいろいろな地形が形成されます。
- 上流…V字谷
傾斜が大きく流れが速いため川底がしん食されV字に切り立った深い谷ができる。 - 上流から中流…扇状地
山間部から平野部に流れ出るところで、一気に流れが緩やかになるので運ばれてきた土砂がたい積し、水はけがよい扇を広げたような地形がつくられる。 - 中流…三日月湖
川がだ行し、だ行の外側の流れが速いので外側が段々と削られだ行が激しくなる。そして、大雨などで一気に流れが真っすぐに戻ると、三日月の形の湖が取り残される。 - 下流…三角州
下流では流れが遅くなり、運ばれてきた土砂がたい積し三角形の地形ができる。
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