水中にものを入れると、浮かび上がろうとする力がはたらきます。今回はこの力の基本について学習します。
「浮力と力のつり合い」基本問題
Q:下の図のように、水の中で物体が受ける力について調べる実験を行った。物体Aは水面から少し出た状態で静止し、物体Bはばねはかりでつるして静止させた。物体Cは指で物体の上面を押し、物体がすべて水につかるようにして静止させた。これについて、以下の各問いに答えよ。ただし、水は1cm³で1g(密度1.0g/cm³)とする。
(1)水の中にある物体が受ける、上向きの力を何というか。
(2)物体A~Cにはたらく(1)は、それぞれ何gの大きさか。
(3)物体Bをつるしているばねはかりは、何gを示すか。
(4)指で物体Cを押している力の大きさは何gか。
浮力とは
水の中にものを入れると、ものには浮かび上がろうとする上向きの力がはたらきます。お風呂やプールに入ると体が浮きますよね?あの浮かび上がろうとする力を浮力(ふりょく)といいます。
浮力は、水中にある物体の部分が押しのけた水の重さと同じになります。つまり、水中では物体の重さが、押しのけた水の重さ分だけ軽くなるのです。少し難しかったので、下の図を見てください。
赤で示した部分が押しのけた水の体積を表しています。図では50cm³の水を押しのけていますね。水は1cm³で1g(密度1g/cm³)なので、50cm³の水は50gになります。
押しのけた水の重さと浮力の大きさは同じなので、上の図の物体にはたらく浮力の大きさは50gになるのです。ここでは、水という液体を使っていますが、使う液体の種類によって浮力の大きさは異なります。水よりも重い食塩水の方が、押しのける液体の重さが大きくなるので、その分浮力も大きくなります。
浮力の求めかた
浮力の求め方ですが、中学受験では次の3パターンを覚えておくとよいでしょう。
❶空気中でのばねははかりの値ー水中でのばねははかりの値
上の図で、空気中でのばねはかりの値が100gをさしているので、この物体の重さは100gです。しかし、水中に入れると、ばねははかりの値が60gに減少しました。これは、水中にある物体に浮力がはたらいたためです。
100gー60g=40g
40g分だけ軽くなっているということは、浮力の大きさが40gであることを意味しています。
❷力のつり合い
水面で浮かんで静止している場合などは、力のつり合いを考えるだけで簡単に解けてしまいます。
上の図のように、重さが200gの物体が水面で浮かんで静止している場合、物体の重さと物体にはたらく浮力がつり合っています。
重さが200g=浮力200g
このように、物体が水面などで静止している場合は、力のつり合いを考えると簡単に解けてしまいます。
❸押しのけた水の重さ
一番最初に説明した解き方です。「浮力の大きさは水中にある物体が押しのけた水の重さと等しい」という考え方です。アルキメデスの原理といわれます。
水中にある物体の体積が100cm³なので、物体によって100cm³の水が押しのけらています。水は1cm³で1gなので、押しのけられた水の重さは100gです。したがって、浮力の大きさも100gとなるのです。
この他にも、台はかりの値を使って浮力を求めるパターンもありますが、それは次回の「浮力の反作用」で説明します。
「浮力と力のつり合い」基本問題 解答
A
(1)浮力
水の中で受ける上向きの力を浮力(ふりょく)といいました。
(2)物体A:80g 物体B:80g 物体C:150g
物体Aは、水面で静止しているので、物体の重さを浮力が等しくなってつり合っています。物体は80gなので、浮力の大きさも80gになります。
物体Bは全部水につかっているので、押しのけた水の体積は80cm³。水は1cm³で1gなので、押しのけた水の重さは80gになります。押しのけた水の重さと浮力は等しいので、浮力の大きさは80gになります。
物体Cも全部水につかっているので、浮力の大きさは150gになります。
(3)70g
物体Bにはたらく力のつり合いを考えます。
(4)50g
物体Cにはたらく力のつり合いを考えます。
コメント